ランニングの擦れ対策|乳首・脇・股ずれにワセリン1つで足りるか

Running Goods

ランニングの擦れは、股だけじゃない

走っている最中は、そんなに気にならないんです。

少し熱を持っている気はする。でも脚が動いているうちは、信号とか、あと何分で家に着くとか、他のことに気を取られている。

分かるのはシャワーです。お湯が当たった瞬間に、沁みる。そこで初めて、皮がやられていたことを知る。

やっかいなのは、翌日以降まで残ること。走力の問題でもやる気の問題でもなく、ただ痛いから走りたくない。ブランクから走り直そうとしている時期に、これで1週間止まると、そのまま止まったままになりやすい。私はそれがいちばん怖いです(走る回数がそもそも戻らなかった時期の話は、別の記事に書きました)。

しかも、痛くなる場所は1箇所ではありませんでした。乳首。脇(わきの下)。股(内ももと陰のうの周り)。私が実際にやられたのは、この3箇所です。

ここが最初のつまずきどころだと思っています。乳首も脇も含めて部位を網羅している記事は、探せばあります。ただ、部位ごとに何を買うかまで落としているものは少ない。 「ワセリンを塗りましょう」で終わると、乳首はどうするのか、脇には何があるのかが分からないまま残ります。対策が空振りするというより、痛む場所と買うものが結びつかない。

ひとつ断っておくと、この記事で私が実際に使ったのは1つの商品だけです。 他は全部、調べた話。伝聞と分かる形で書きます。

結論だけ先に

  • 痛む場所が複数あるなら、ワセリン。1つで乳首・脇・股のどこにも塗れます
  • 乳首だけならニップレス。股だけなら、手持ちのタイツで1回走ってみる(0円)
  • 脇は、その部位のために設計された製品が見当たりませんでした。汎用品を塗るか、当たる生地を変えるか

理由は、ぜんぶ下に書きます。

この記事が向いていない人

  • 走り方やフォームの改善を知りたい人 — ここでは扱いません。摩擦そのものを減らす話です
  • すでに合う製品が決まっている人 — 買い替えの参考にはなりますが、発見は少ないはずです
  • 女性の擦れ対策を探している人 — 擦れる位置も条件も違うため、この記事は対象外にしました

すでに擦れてしまった人へ

たぶん、この記事に来る人の半分はもう擦れています。順番として、そちらを先に。

まず、走るのを一旦止める。擦れた面をもう一度こすれば、そのぶん長引きます。休めば数日で落ち着くこともありますが、落ち着き方には個人差があります。

それから乾かす。汗や湿った生地が当たったままにしない。着替えを早くするだけでも、条件は違ってきます。

落ち着くまでは、擦れていた面が直接触れないようにする。インナーを1枚挟んで、生地で隔てる。塗るものを足すのは、ヒリつきが引いてからのほうが無難です。

ここは治療の話ではありません。出血している、じくじくしている、痛みが強い、範囲が広がっているという場合は、市販品で様子を見ずに皮膚科などの医療機関へ行ってください。 恥ずかしいと感じる部位ですが、向こうにとっては日常的な相談です。

部位ごとに、起きることが違う

同じ「擦れ」でも、起きている摩擦の種類が違います。私が痛くなった3箇所を、分けて書きます。

乳首の擦れ — 肌と生地の摩擦

Tシャツの生地と乳首がこすれる。肌と肌ではなく、肌と生地です。

一般に、距離が伸びるほど出やすいと言われます。1回の接触は小さくても、腕を振り足を運ぶあいだ、生地は延々と往復している。長距離のレースで胸に2本の筋を作って走っているランナー。あれです。滲むところまでいくことがある、という点でも知られています。

生地が薄い、あるいは目の粗いTシャツほど当たりが強く出やすい、という指摘はよく見かけます。ここは私が比較検証したわけではないので、傾向として書いておきます。

脇(わきの下)の擦れ

腕を振るたびに、腕の内側と胴の側面がこすれる。走っている時間ぶん、ずっとです。

私がいま、いちばん強く感じているのがここ。学生時代から擦れてはいましたが、いまのほうがはっきり出ます。毎回ではなく、時折痛む、という頻度です。体重が増え、筋トレで身体が大きくなったぶん、腕と胴の皮膚同士が触れる面が増えたせいだと思っていますが、確かめたわけではありません。ノースリーブやタンクトップだと肌と肌が直接当たりますし、袖があっても縫い目の位置によっては生地が当たり続けます。

汗が溜まりやすい場所でもある。摩擦と湿気が同じ場所で重なるので、条件としては悪いです。

股ずれ — 内もも・陰のう

内もも同士がこすれる。一般的な理解はこれだと思います。間違ってはいません。ただ、足りない。

男性の場合、陰のう(陰嚢)と内ももの内側が接する部分も擦れます。 皮膚が薄く、汗もたまりやすい。私の場合、痛みが出たのはむしろこちら側でした。

書きにくい部位なので、多くの記事が触れていません。でも触れないと、内ももだけに対策して「効かなかった」で終わる。塗るなら塗る、生地を挟むなら挟むで、この2箇所を両方カバーする必要があります。

なお、この3つ以外にも、ザックのストラップ、心拍ベルトの下、腕時計のバンド。道具が当たり続ける場所は擦れます。私にも心当たりが1つあって、ネックレスをつけたまま走ると、たまに首に違和感が出ます。痛みというほどではありませんが、道具が当たり続ける場所はそういう形で出てくる。痛みの出所を探すときは「服や道具が当たり続けている場所」を全部疑ってみてください。

距離を減らしたら、擦れる場所が入れ替わった

学生時代も股ずれはありました。1回10km以上、しかも夏。汗の多い季節に集中して起きて、当時の悩みはほぼ股の一点でした。

そこから長いブランクがあります。その間に体重が増えました。いま走っているのは、休日の日中、近所の道路。1回5〜10kmで、学生時代よりは短めです。

といっても、走った回数はまだ多くありません。長いあいだ半年に1回くらいで、最近になってようやく増えてきた段階です。サンプルとしては、少ないです。

そのうえで、再開後に起きていることを書きます。

股は、ほぼ擦れなくなりました。 あれだけ悩んでいた場所なのに、です。理由はたぶん単純で、いまはランニング用のハーフタイツで走っているから。股ずれ対策としてタイツを選んだわけではなく、履いていたものが結果的に対処になっていたのだと思います(この話は後半でもう一度出てきます)。

かわりに、いま時折痛むのは脇です。 学生時代もまったく無かったわけではありませんが、いまのほうがはっきり出る。距離は昔より短くなっているのに、です。理屈をつけるなら、体重が増え、筋トレで身体が大きくなったぶん、腕と胴の皮膚同士が触れる面が増えたこと。ただし、これは確かめた話ではなく、私の推測です。

しかも、話をややこしくする事実があります。

今年、ほぼ練習なしでフルマラソンを走りました。5時間かかりました。そのとき、擦れなかったんです。

42km走って擦れず、近所の5〜10kmで脇が痛む日がある。

なぜそうなるのか、私には分かりません。ウェアだったのか、ペースだったのか、その日の汗の量だったのか。理由なら後からいくらでも作れますが、確かめていないので書きません。分からない、が正直なところです。

ここから引き出せることは1つ。ブランクを経て走り直す人は、昔と同じ場所が同じ強さで擦れるとは限らない。 私の場合、いちばん悩んでいた股は消えて、脇が残りました。学生時代に股ずれで苦労した記憶があると、対策も股に寄ります。走り出した最初の数回は、どこが痛くなったかを先に確かめる。買うのは、そのあとでいいと思います。

念のため書いておくと、これは私の身体で起きたことです。身体が大きくなったら必ず脇が擦れるという話ではありませんし、減量を勧める意図もありません。

ワセリンは、部位をまたいで使えるのが強い

擦れる場所が3箇所あると分かった時点で、専用品を部位ごとに揃える発想は崩れます。乳首用のテープ、股用のクリーム、脇用の何か。そんな買い方をしたら、消耗品なのに出費が3倍。しかも3つとも切らさないように管理することになります。考えただけで、続く気がしませんでした。

ワセリンは、1つで複数の場所に使えます。走るときは、複数の部位に塗っています。

40gで約328円。この価格でそれができるのは、率直に大きいと思っています。専用品を買う前の「まず自分の擦れがどの程度のものか測る道具」として、これ以上気楽なものはない。

白状すると、私がワセリンに落ち着いたのは、3つを並べて比べ抜いた結果ではありません。脇に関しては、他に選べるものが無かった。その話は後半に出てきます。

もう1つ。劇的ではありません。 塗らないよりはましになる、ある程度は軽減される。この程度の言い方が正確です。塗ったからもう擦れない、という感覚にはなりませんでした。ここを期待して買うと肩透かしを食います。

部位ごとに、ワセリンで足りるか

部位 ワセリンで足りるか(私の場合) 足りないときの手
股・内もも・陰のう 塗らないよりはまし、という程度。学生時代、1回10km以上・夏の条件では、これだけでは押し切れなかった。いまはハーフタイツで走っていて、ほぼ擦れていない ランパンからタイツ・スパッツへ替える
同じく、ましになる程度。いま自分がいちばん強く感じている場所がここ 脇専用に作られた製品は見当たらない。脇にも使える汎用バーム、またはコンプレッションウェアで肌同士が触れないようにする
乳首 同じく、ましになる程度 ニップレス、または医療用テープ(後述)

これは私の場合の話で、擦れ方には個人差があります。「足りるか」の欄も、部位ごとに条件を揃えて比べたものではありません。同じ日に同じように塗って、痛くなったかどうかを覚えている範囲の話。厳密さはないです。

それでも右の列を見ると、部位によって打てる手の数が違うことは分かると思います。股はいちばん選択肢が多い。乳首は貼るという方向がある。脇は——後述しますが、その部位のために作られた製品がありません。

洗濯で困るかどうかは、条件次第だと思っています

ワセリンがウェアに付着すると油シミになりやすく、明るい色のシャツでは特に目立つ。ランニング情報サイトの RUNNAL にはそういう記載があります。また、美容情報サイトのスハダノミカタには、メーカー(ヴァセリンを販売するユニリーバ・ジャパンと、白色ワセリンの健栄製薬)への問い合わせ結果として、衣類に付いたワセリンは40〜60℃の湯につけ置きしてから洗う、という回答が載っています。裏を返せば、低い水温の洗濯では生地に残りやすいということです。

そういう指摘がある一方で、私自身は衣類に付いて困った経験がありません。私の運用はこうです。特に夏場は、アップの後にワセリンを塗ってから本練習を始める。この範囲では、生地に残って困ったことはなかった。

どちらが正しいという結論は出しません。塗る量も、生地も、洗い方も違います。ただ、「必ずシミになるから覚悟しろ」でもなければ「気にしなくていい」でもない、条件次第の話だとは言えます。明るい色のシャツを着る人ほど、指摘されている側のリスクは大きくなる。最初の1回は捨ててもいいシャツで試すほうが安全だと思います。

油分の落とし方は、洗剤側の記事で扱っています。→ ランニングウェアの臭いが取れないなら、洗剤より先に見る3つの条件

ワセリンで足りない場面

2つあります。効きの話が1つ、運用の話が1つ。

(a) 効きに上限がある。 ここは条件を数字で書けます。私が強く擦れていたのは、1回10km以上、しかも夏場でした。この条件だと、ワセリンだけで押し切るのは苦しい。ただし前に書いたとおり、いまの私は5〜10kmでも脇が痛む日があります。距離が短いから大丈夫、という線引きにはならない点は補足しておきます。

(b) 持っていくのを忘れる。 これが実際にいちばん効きました。小さいサイズも売っていますが、その小さいサイズを今度は無くす。ジャーは平たくて、バッグの底やロッカーで行方不明になります。家で塗って出るだけなら問題になりませんが、走る場所まで移動して着替える人には現実的な弱点です。

で、この (b) が、単価の高い製品を検討する理屈になります。どちらも「持ち出す」という一点に効く形をしている。

持ち出すのを忘れる・無くすのが問題なら、小分けの構成があるものを選ぶ。プロテクトJ1 に 15ml×5本 があるのは、この用途に噛み合っています。1本をポーチに入れっぱなしにできる形です。

持ち出しても、手が汚れるのが嫌で塗らずに済ませてしまうなら、スティック型。Body Glide は肌に直接転がすタイプなので、指が汚れない形です(剤形の話で、私は未使用です)。10gなら携帯しやすいサイズでもあります。

つまり単価の高い製品は、「よく効くから高い」というより「運用の面倒を1つ消しているから高い」。そう考えたほうが、判断を間違えにくい。私はそう整理しました。

塗るもの3つを同じ軸で比べた表

比べる前に、私が見ている軸を3つ書いておきます。

1つめ、剤形と手の汚れ。 ジャーから指ですくうタイプは、塗ったあと指がべたつきます。家を出る直前に塗ると、鍵にもドアノブにも触りたくなくなる。しかも塗る場所が複数あると、その手であちこち触ることになる。毎回のことなので、地味に効いてきます。

2つめ、g単価。 擦れ対策は消耗品です。1回の値段ではなく、続けたときにいくらになるかで見ないと意味がありません。塗る場所が増えれば消費も増えます。今回の3つは、いちばん安いものといちばん高いもので70倍以上の差があります。

3つめ、持ち運びやすさ。 これは自分で使って初めて気づいた軸です。効きの比較ではないので他の記事ではあまり見かけませんが、私の場合、対策が途切れる原因はここでした。持って出るのを忘れる。小さい容器のほうを無くす。中身の性能とは関係のないところで、運用は止まります。

価格・仕様はいずれも2026年8月1日時点で確認できたものです。

商品 使用状況 剤形/手の汚れ 容量と価格 円/g(目安) 区分 持ち運びやすさ
ヴァセリン オリジナル ピュアスキンジェリー 使用中 ジャー/指ですくう=汚れる 40g 約328円/80g 327〜463円/200g 603円 約3.0〜8.2円 化粧品 40gなら携帯できる。ただしジャーは平たく、バッグの底で行方不明になりやすい
プロテクトJ1 未使用 ボトル/指で塗る=汚れる 45ml 1,540円前後/15ml×5本 2,640円 約34〜35円/ml 化粧品の可能性が高い(メーカー公式の明記は未確認) 15ml×5本があり、1本だけ持ち出せる
Body Glide Body バーム 未使用 スティック/手が汚れない 10g 1,760〜1,870円/22g 2,750円/42g 3,300円 約79〜187円 日本での区分は確認できず(米国ではOTCとして登録) 10gは携帯しやすい

「ワセリン」を買うときに、区分を1回だけ見てください

「ワセリン」で検索すると、上の表に入れたヴァセリン(化粧品)のほかに、第3類医薬品の「白色ワセリン(日本薬局方)」が混ざって出てきます。これは医薬品です。執筆時点で確認できた製品表示では、承認されている効能は「手足のあれ、ひび、あかぎれ、皮膚の保護」といった範囲で、股ずれの予防は含まれていませんでした。記載内容は製品によって異なることがあるので、購入前に手元のパッケージで確認してください。

ややこしいことに「大洋製薬 ワセリンHGチューブ」という商品もあります。名前は似ていますが、執筆時点で確認できた範囲では、こちらは医薬品ではありません(化粧品/雑貨の扱い)。

同じ棚に、区分の違うものが並んでいる。商品名の見た目だけで判断せず、パッケージの区分表示を確認してから選んでください。この記事では、医薬品は比較の対象にしていません。購入リンクも貼りません。

そのうえで、どの製品についても、使用部位や使い方は各製品のパッケージ・説明書の記載に従ってください。部位によっては使用が想定されていない場合があります。

円/g の計算前提

  • 各行の「容量と価格」をそのまま割った値です。幅があるのは、容量違い・販売店違いで単価が変わるため
  • ヴァセリンは 200g 603円で最安(約3.0円/g)、40g 328円で最高(約8.2円/g)
  • プロテクトJ1 は ml 単位。45ml 1,540円で約34円/ml、15ml×5本(計75ml)2,640円で約35円/ml
  • Body Glide は 42g 3,300円で最安(約79円/g)、10g 1,870円で最高(約187円/g)

1回あたりのコストは、全商品では出せませんでした。使用量を公称しているのはプロテクトJ1だけで、メーカーは1回0.5ml、45mlで約90回としています。他の2つは「1回にどれだけ使うか」の基準がなく、塗る範囲でも変わる。推測はしないことにしました。塗る部位が増えれば、当然そのぶん減りは早くなります。

商品ごとの詳細

ヴァセリン オリジナル ピュアスキンジェリー — 化粧品 ★私が使っているもの

青い容器の、あれです。区分は化粧品。成分はワセリン、酢酸トコフェロール、BHT。

成分の性質として、ワセリンは温度で硬さが変わります。冷えていると硬く、温まるとゆるくなる。季節によって扱いが変わる可能性はあります。

良い点

  • 40gで約328円。試すハードルが低い。合わなかったときの損失が数百円で済む
  • 1つで複数の部位に使えます。専用品を部位ごとに揃える買い方と比べたとき、この汎用性がそのまま金額差になります
  • 40g / 80g / 200g とサイズが選べる。40gなら持ち出せる
  • 家に1つあると、擦れ対策以外にも使える。用途を専用品に限定しなくていい

気になる点

  • 上に書いたとおり、「ましになる」レベルで止まります。擦れが消えるわけではありません
  • 量が多いとベタつく、という指摘がレビューで繰り返し出てきます。塗る量の加減は要りそうです
  • 指ですくうので手が汚れる。塗る場所が複数あると、その手でしばらく何も触りたくなくなります
  • レビューには少数ながら「匂いが気になる」「肌に合わずかゆみが出た」という声もあります。肌に合わない可能性はどの製品にもあります。異常が出たら使用をやめて医療機関へ

向いている人

擦れる場所が複数ある人。まず1つ試したい人。家で塗って出る運用ができる人。専用品を買う前に、自分の擦れがどの程度のものか確かめたい人。

プロテクトJ1

擦れ対策を調べていると、よく名前が挙がる製品です。私は使っていません。以下は調べた範囲の話。

区分について。公式サイトには、薬機法上の区分(医薬部外品なのか化粧品なのか)の明記を見つけられませんでした。

ただ、全成分については追記があります。公式サイトでは見つけられませんでしたが、販売店の商品ページには全成分表示が掲載されています。 水、セタノール、ステアリン酸といった基剤から、フェノキシエタノール、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルまで並んでいる形です。「全成分」という形式で表示するのは化粧品の表示ルールなので、化粧品である可能性が高い。ただしメーカー公式の明記は確認できていません。 成分を厳密に確認してから買いたい人は、購入前にメーカーへ問い合わせるのが確実です。

良い点

  • 今回の3つで唯一、使用量と持続時間を数字で公称しています。メーカーは1回0.5ml、45mlで約90回、7〜8時間持続(個人差あり)と説明。数字が出ていると、ロング走の計画が立てやすい
  • 15ml×5本の構成があります。1本をポーチに入れておけば、「持っていくのを忘れる」問題に対処できる形です
  • ボトルから出して塗るので、容器に指を入れずに済みます。中身が汚れにくい剤形です

気になる点

  • 45mlで1,540円前後、約34円/ml。ワセリン系と比べると10倍以上の単価です。塗る場所が複数あると、この差はさらに開きます
  • 薬機法上の区分がメーカー公式で確認できない。全成分は販売店ページで読めますが、区分そのものの明記には行き当たりませんでした
  • 持続時間はメーカーの公称で、私が確かめた数字ではありません。個人差ありと但し書きも付いています
  • 手が汚れる点はワセリン系と同じ。ボトルから出したあとは指で塗ります

向いている人

走る場所まで移動して着替える人。ロング走で塗り直す前提がある人。単価より運用のしやすさを優先する人。

Body Glide Body バーム — 日本での区分は確認できず

スティックタイプ。制汗剤のように、直接肌に転がして塗ります。これも私は使っていません。

区分について。国内の販売ページには、化粧品なのか雑貨なのかの明記を確認できませんでした。以前この記事では「化粧品」と書いていましたが、裏が取れなかったので直しています。

一方、本国側には手がかりがあります。米国の医薬品情報データベース DailyMed に、BODYGLIDE ANTI CHAFE BALM - allantoin stick として OTC の登録があります。本国ではアラントインを配合した皮膚保護剤として登録されている、ということです。ただし、日本での薬機法上の区分は確認できていません。 国が違えば制度も違うので、米国の登録がそのまま国内の区分になるわけではありません。

良い点

  • スティック型なので手が汚れない形です。今回の3つでこれができるのはこれだけ。理屈のうえでは、玄関で塗ってそのまま出られます
  • 石油系原料とパラベンを使わず植物由来としています。ここを気にする人には選択肢になります
  • 10gなら携帯しやすいサイズです
  • 公式サイトが適用部位に underarms(脇)を挙げています。今回の3つで、脇を名指ししているのはこれだけでした

気になる点

  • 高い。10gで1,760〜1,870円、g単価にすると約176〜187円。42gを買っても約79円/gで、ワセリン系とは桁が違います
  • 持続時間の数値公称がありません。どのくらい持つかは買ってみないと分からない
  • スティックは塗る範囲の細かい調整がしにくい形です(剤形上の一般的な特性で、この製品固有の評価ではありません)。細かい部位に使いたい場合は、この点が引っかかる可能性があります
  • 日本での薬機法上の区分が確認できていません。肌に長時間乗せるものなので、気になる人は購入前に輸入元へ確認を
  • 脇に使えると謳ってはいますが、脇で試した結果を私は持っていません。ここは公式表示を紹介しているだけです

向いている人

走る前の準備を1動作で終わらせたい人。手の汚れが理由で塗るのをやめてしまった人。単価より手軽さを取る人。

塗る以外の手(部位別)

塗るものだけが対策ではありません。ただ、部位によって打てる手の数が違います。

股 — 履くものを変えるほうが早いことがある

私の実感では、ランパン(ランニングパンツ)は股ずれになりやすく、ランニング用のハーフタイツは擦れにくい。 少なくとも股まわりに関しては、塗るものをどうするかより、こっちの差のほうが大きく感じました。

履いているのは、ナイキの「ファスト ドライフィット ランニング ハーフレングスタイツ(インナー付き)」です。ひざ上丈のハーフタイツ。以前この記事では「ロングタイツ」と書いていましたが、確認したところ正しくはこのハーフ丈でした。訂正します。ランパンで走っていた頃と比べたときの差がはっきりしていた、という実感は変わりません。

※リンク先の価格・表記は販売店によるものです。

ついでに、走るときの服装を書いておきます。ウェア、このハーフタイツ、靴下、シューズ。以上です。タイツには収納が付いていて、スマホはそこに入れています。腰の真ん中に入れられるので、腕につけるストラップと比べて、走っている最中に左右差を感じなくていい。揺れることもない。自然体で走れるのが、個人的には気に入っています。

起きているのは、接触面の置き換えだと思っています。ランパンは丈が短く、内側がゆるい。脚を動かすたびに、肌と肌が直接こすれる状態がそのまま残る。タイツやスパッツは、肌と肌のあいだに生地が1枚入る。しかも身体に密着しているので、生地自体が動いてこすれる余地も小さい。「肌と肌」が「肌と生地」に置き換わる、という構造の違いです。

手持ちにタイツかスパッツが1本でもあるなら、次の1回はそれで走ってみる。追加費用はゼロです。ただし夏場にタイツは暑いと感じる人もいますし、これは私が感じたことであって、誰にでも同じことが起きるという話ではありません。

塗り直しが要らない。持ち出すのを忘れる・無くすという運用上の問題が、丸ごと消える。そこがこの方向の利点です。履いてしまえば、あとは考えなくていい。かわりに洗い替えで2枚以上要ります。

日焼けを避けたい・冬にも使いたいなら、ロング丈という手もある

私が履いているのはハーフ丈で、夏はこれで足りています。ただ、日焼けを避けたい、あるいは冬にも同じ方向の対策を使いたいということであれば、ロングタイツも試してみてください。「肌と肌」を「肌と生地」に置き換えるという構造はハーフ丈と同じで、生地でおおえる範囲が脚全体まで広がります。

挙げておくのは、私のハーフタイツと同じナイキの Dri-FIT のロングタイツです。私はロング丈を持っておらず、これは未使用です。 構造がハーフ丈と同じだから挙げている、という読み方をしてください。

※リンク先の価格・表記は販売店によるものです。

断っておくべき点も書いておきます。股まわりの話であって、乳首や脇には効きません。それと、夏場のロング丈は暑いと感じる人もいるはずです。日差しを取るか涼しさを取るかは、走る時間帯と場所で分かれるところだと思います。

乳首 — 生地との間に1枚挟む

股が「肌と肌」の摩擦なら、乳首は「肌と生地」の摩擦です。だから打てる手も変わる。生地が当たらないように、間に剥がせるものを1枚挟む。方向としてはこれです。

ここから挙げる2つを、私は使っていません。塗るものだけで済ませてきたので、貼った感想は持っていない。公式表示とレビュー傾向、それと薬機法上の区分だけを整理します。

ケラッタ ニップレス 男性用 — 区分は要確認

使い捨ての貼るタイプ。直径約4cm、20回分(40枚)で798円前後。60回分・100回分の展開もあります。1回あたり40円前後の計算です。

区分について。商品ページには「医療用素材採用」という表記がありますが、医療機器の届出番号のような公的な区分表示は確認できませんでした。雑貨として販売されているとみられます。ここは購入前に自分で確認してください。

良い点

  • 1回分ずつ持ち出せる形です。ポーチに2枚入れておけば、ワセリンの「忘れる・無くす」問題からは外れます
  • 楽天のレビューは320件・評価4.52(執筆時点)。判断材料の数はあります
  • メーカーは「水や汗に強い」としています。ただし第三者の試験データは確認できていません

気になる点

  • 剥がしたあとに蒸れて赤くなった、という声がレビューに出ています。密着させる以上、汗の逃げ場はなくなります
  • 台紙から剥がしづらい、粘着剤が肌に残る、という指摘も複数あります
  • 価格に疑問という声もあります。1回40円前後は、ワセリンと比べると続けたときの差が小さくありません
  • 乳首専用です。脇にも股にも使えないので、部位が複数ある人は結局これ1つでは終わりません

向いている人

乳首だけが集中して痛む人。塗るもので足りなかった人。走る前の準備を1動作で終わらせたい人。

医療用テープ(3M マイクロポア サージカルテープ ほか)— 一般医療機器

3M マイクロポア サージカルテープ(2.5cm×9.1m で400円前後)も、ニチバン シルクテープ S125(185円前後)も、薬機法上は一般医療機器で、届出番号のある製品です。区分としては、はっきりしています。

ただし、これらが承認されているのは絆創膏やガーゼの固定という用途であって、乳首の擦れ対策はメーカーが想定した用途ではありません。

ランナーの間で代用されている方法として知られていますが、メーカーが想定した用途ではないため、この記事では購入リンクを貼りません。 この記事は医薬品を比較の対象から外していますが、承認された用途の外で医療機器を勧めるのも、同じ理由でやらないことにしました。比較検証もしていません。

情報としては、知っておく価値があると思うので残します。

  • 薬機法上は一般医療機器で、届出番号のある製品です。区分そのものは、ニップレス類より調べやすい
  • 400円前後で9.1m。必要な長さだけ切って使う形なので、1回あたりの金額は小さくなります
  • マイクロポアには通気性が良いという記載があります
  • 一方で、防水性の明記は確認できませんでした。汗で剥がれるかどうかは、公表されている情報からは判断できません
  • 貼る・剥がすという行為そのものが肌への負担になります。同じ場所に繰り返すなら、なおさら

この用途での性能は、どこからも保証されていません。使うかどうかは、そこを理解したうえで自分で判断してください。貼ったあとにかゆみ・赤み・かぶれが出たら使用をやめて、皮膚科などの医療機関に相談を。

脇 — 脇のために作られたものが、見当たらなかった

今回調べていて、いちばん予想外だったのがここです。

見つからないんです。

脇に使えると謳う汎用品はあります。 上で挙げた Body Glide の公式サイトは、適用部位に underarms(脇)を挙げています。だから「脇に使えるものが何も無い」ではありません。

ただし、それは全身用の製品が脇にも使えるという話です。脇のために設計された製品は、見つけられませんでした。 乳首にはニップレスという専用カテゴリがある。股にはタイツやスパッツがある。脇には、それに当たるものがない。

いま自分がいちばん強く擦れている場所なのに、その部位専用の棚が見当たらない。乳首と股の対策を調べた流れで脇も出てくるだろう、と思っていたぶん、拍子抜けしました。

ランナー向けサイト RUNNET(アールビーズ運営)の用語辞典で「わき擦れ」の項目を見ても、対策として挙がるのはワセリンや皮膚保護クリームの塗布です(乳首については絆創膏の貼付)。ほかに見かけるのも、身体に密着するコンプレッションウェアを着る、全身用の皮膚保護バームを塗る、くらい。どれも「脇のための製品」ではなく、「脇にも使える製品」です。

つまり脇には、「その部位専用のものを買う」という選択肢がありません。汎用品を塗るか、当たる生地を変えるか。この2つだけ。

これは、この記事の主張の裏返しでもあります。部位ごとに専用品を揃えるという買い方は、脇の時点で行き止まりになる。だから、部位をまたいで使える汎用品の価値が上がる。

前のほうにも書きましたが、私が結局ワセリンに落ち着いているのも、比較して選び抜いたというより、脇に関しては他に無かったからです。格好のいい話ではありません。でも、そういうことです。

生地側でやれることが1つあります。腕を振ったときに肌と肌が直接当たっているなら、身体に密着する袖付きのウェアを着て、間に生地を1枚入れる。ノースリーブをやめる、というだけの話でもあります。ただし縫い目の位置が悪いと、今度はその縫い目が当たり続ける。ここは私も試行錯誤の途中です。

よくある失敗3つ

1. 塗る場所を1箇所に決めつける

股だけ塗って走り、脇が痛くなる。あるいは去年痛くなった場所だけを対策して、今年は別の場所がやられる。私がやった失敗です。

痛かった一点だけに塗って終わりにするのも、同じ構図。実際にこすれている範囲は、走っているときの身体の動き全体で決まります。痛かった場所より広めに、周囲まで含めて塗ったほうが、私の場合は結果が安定しました。股なら、内もも同士だけでなく陰のうと内ももの間まで。

ただし、皮膚が薄い部位ほど刺激を感じやすくなります。陰のうまわりのようなデリケートな部分は、いきなり広く塗らずに少量から試してください。ヒリつきやかゆみが出たら、その時点で使うのをやめて医療機関に相談を。製品によっては、その部位への使用が想定されていない場合もあります。ここを外すと「塗ったのに擦れた」になります。

2. 量が足りない

薄く伸ばして終わりにすると、早い段階でなくなります。ベタつきを嫌って減らせば、そのぶん持たない。トレードオフです。ベタつきが我慢できないなら、量ではなく製品側(サラサラ系)を変えるほうが筋がいいと思います。

3. 綿で走る

綿は汗を吸って、そのまま抱え込みます。塗るものをいくら足しても、下に綿が入っていると土台が悪いまま。下着だけの話ではなく、綿のTシャツなら乳首や脇でも同じことが起きます。手持ちに化繊のウェアがあるなら次の1回から替えるだけで、費用はかかりません。

ちなみに、私がいま走るとき着ているのは、再開時に買ったナイキのDri-FITの半袖です。「化繊のウェア」というカテゴリの話で、この製品でなければいけない理由はありません。

どれを選ぶか

痛む場所で分けます。

股だけで、お金を使いたくないなら → 履くものを変える

手持ちにタイツかスパッツがあるなら、次の1回はそれで走る。私の場合は、ランパンからランニング用のハーフタイツに替えてから、股はほぼ擦れなくなりました。0円で試せます。ただし乳首と脇には効きません。

乳首だけが集中して痛むなら → 貼る方向へ

塗るもので足りないなら、ケラッタのニップレス(1回40円前後)。医療用テープを代用する人もいますが、メーカーが想定した用途ではないので、この記事では紹介にとどめて購入リンクは貼っていません。どちらも私は未使用です。

脇が痛いなら → 塗るか、生地を変えるかしかない

脇にも使えると謳う汎用品はあります(Body Glide は公式に underarms を挙げています)。ただし調べた範囲で、脇のために設計された製品は見当たりませんでした。汎用品を塗るか、密着する袖付きのウェアで肌同士が当たらないようにするか。選択肢が少ない部位だと割り切ったほうが、早いです。

痛む場所が複数あるなら → ヴァセリン オリジナル ピュアスキンジェリー

複数の部位に使えて、失うものが小さい。擦れが消えるわけではありませんが、私の場合は塗らないよりましになりました。自分の擦れがどの程度かを測る道具として使えます。

サイズは用途で分かれます。家で塗って出るだけなら、g単価が最安の 200g(執筆時点603円・約3.0円/g)。まず少量から試したいなら 80g(327〜463円。下限で買えれば40gとほぼ同じ値段で倍量です)。走る場所まで持ち出すなら 40g(約328円)。ここで足りなければ次へ進む、という順番です。

持ち出すのを忘れる・手が汚れるのが問題なら → 単価の高い専用品へ

持ち出しを確実にしたいなら プロテクトJ1(15ml×5本)。手の汚れが理由で続かないなら Body Glide。どちらもワセリン系の10倍以上の単価になりますが、払っているのは「効きの差」より「運用の面倒を消す分」だと考えています。塗る部位が多い人ほど、この差額は重くなります。

再開時に何から買うかは、こちらで優先順位をまとめています。→ ランニング再開の道具は4つで足りた|ブランク8年で本当に必要だったもの

まとめ

学生時代に悩んだ股ずれは、ハーフタイツで走るようになってからほぼ出ていません。かわりにいま時折痛むのは脇です。今年フルを5時間かけて走ったときは擦れず、距離では説明がつきませんでした。 ワセリンの強みは、1つで乳首・脇・股に使えること。効きは私の場合は劇的ではなく、持ち出すのを忘れやすい。乳首には貼る手があり、脇には専用に設計された製品が見当たりませんでした。 すでに痛みや出血があるなら、この記事の商品ではなく医療機関へ。


この記事について運営者について):価格・仕様は2026年8月1日時点、乳首・脇まわりの調査は2026年8月2日時点で確認したものです。塗るもの・貼るもののうち私が実際に使用しているのはヴァセリン オリジナル ピュアスキンジェリーのみで、他はすべて未使用です。衣類では、ナイキのハーフレングスタイツと半袖(Dri-FIT)を実際に使用しています。紹介しているロングタイツは未使用です。擦れた部位として書いているのは、私自身が痛みを経験した乳首・脇・股の3箇所です。未使用製品については公式情報とレビュー傾向を、出典が二次情報の場合はその旨を明記して記載しています。医療機器(サージカルテープ類)について書いた用途はメーカーが想定したものではないため、購入リンクは貼っていません。医薬品も比較の対象にしていません。感じ方には個人差があります。肌に異常が出た場合は使用を中止し、医療機関に相談してください。


掲載している価格・仕様は執筆時点のものです。購入前に販売ページで最新の情報をご確認ください。